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このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか

撮影の打ち合わせで確認するのは9項目。最初に聞くのは「何に使う写真か」

打ち合わせのあとで「あれを聞き忘れた」と気づく。撮影当日になって「こういう写真じゃなかった」と言われる。こういうことが続くと、口下手な自分は打ち合わせに向いていないのでは、と思ってしまうことがあります。

聞く順番は目的、使い道、撮るもの、条件の4段階

ただ、話す力の問題とは限りません。撮る腕は現場で磨いてきても、打ち合わせで何をどの順に聞くかは、習ったことがないという人もいるはずです。足りないのは聞く順番だけで、腕とは別の話です。

この記事では、撮影の前に聞く項目を9つに分けて、聞く順番と、そのまま使える聞き方、その日のうちに送る確認メールの例文まで書きます。

打ち合わせで自分の話ばかりになってしまう

よくある場面です。会って挨拶をして、少し間が空く。その沈黙が気まずくて、過去の作例を見せはじめる。機材の話をする。自分はいつもこう撮っている、という説明をする。相手はうなずいてくれるので、話がうまく進んでいる気がします。

ところが帰り道に思い返すと、相手が何に使う写真なのかを、ひとことも聞いていない。こういう終わり方になります。私はこれを『しゃべりすぎ型』と呼んでいます。沈黙が怖くて自分の説明で埋めてしまい、相手の話を聞く時間がなくなってしまう状態のことです。

口下手だから起きるのではなく、何を聞けばいいか知らないので、手持ちの話で間をつないでいるのだと私は見ています。だとすれば、話がうまくなる必要はありません。聞く順番があればいい、ということです。

確認する9項目の一覧

撮影の前に聞くことは、次の9つに分けられます。右の列は、聞かなかったときに起こりやすいことの例です。

項目聞き方の例聞かないと起きること
①目的「この写真は、何のために使いますか」当日になって「こういう写真じゃなかった」と言われる
②使う場所(媒体)「どこに載せる予定ですか。ほかにも使う予定はありますか」縦横や余白が合わず、撮り直しになる
③被写体「撮るのは人ですか、商品ですか。何人、何点ですか」当日に人や物がそろわない
④イメージ「近い雰囲気の写真を、2〜3枚送ってもらえますか」仕上がりの印象がずれる
⑤NG「写してはいけないもの、写せない人はいますか」撮影後に気づいて、撮り直しや削除になる
⑥日時・場所「当日の場所と時間を教えてください。雨のときはどうしますか」光や広さが足りない。延期でもめる
⑦納品の形式・枚数・期日「お渡しするのは、選んだ◯枚をJPEGで◯日まで、でよいですか」撮った分を全部もらえると思われていた
⑧使える範囲「使うのはホームページまで、期間は◯年、でよいですか」あとから広告やチラシにも使いたいと言われる
⑨料金と追加の条件「延長や追加のカットは、別の費用になります」当日に言い出せず、持ち出しになる

聞く順番は「目的→使い道→撮るもの→条件」

9項目は、並べた順にそのまま聞く必要はありません。おすすめの順番は次のとおりです。

  1. 目的(①):何のための写真か
  2. 使い道(②):どこに載せるか
  3. 撮るもの(③④⑤):何を、どんな雰囲気で、何を避けて撮るか
  4. 条件(⑥⑦⑧⑨):いつ、どこで、何枚、どこまで使えて、いくらか

料金や権利の話から入ると、お互いに身構えた打ち合わせになります。目的から聞けば、撮るものや枚数は自然に決まっていきます。条件は、そのあとで確認するだけです。

最初に聞く「目的」と「使う場所」で、撮り方が決まる

「何のための写真ですか」で、同じスタッフ写真でも撮り方が変わる

同じスタッフ写真でも目的で採用用と役員用に撮り分ける比較図

依頼が「スタッフの写真を撮ってほしい」だったとします。この一文だけでは、撮り方が決まりません。

  • 採用ページに載せる場合:働いている場面や、自然な表情が合います。机に向かう手元や、同僚と話している様子も使えます。
  • 会社案内の役員紹介に載せる場合:正面を向いた、きちんとした写真が合います。背景は整理され、服装も整っている必要があります。

目的を聞かずに撮ると、どちらにも中途半端な写真になります。採用ページには硬すぎ、役員紹介にはくだけすぎる、という形です。最初の質問は、これだけで足ります。

「この写真は、何のために使いますか。誰に見てもらうものですか」

使う場所で、縦か横か・余白・解像度が変わる

目的の次は、載せる場所を聞きます。場所によって、撮る向きや余白、データの大きさが変わるからです。

使う場所撮るときに気をつけること
ホームページの一番上横長が多い。文字を載せる余白が要る
Instagram縦長や正方形が多い。端が切れても困らない構図にする
チラシ・パンフレット印刷するので、高い解像度のデータが要る

聞き方の例です。

「この写真はどこに載せる予定ですか。ほかにも使う予定はありますか」

後半の「ほかにも」が大事です。ホームページ用と聞いて撮ったのに、あとからチラシにも使うとなると、データの大きさが足りなくなることがあります。最初に聞いておけば、撮る段階で対応できます。

「おまかせします」と言われたときの返し方

「おまかせします」は、信頼してくれている言葉です。ただ、そのまま受けて自分の好みで撮ると、納品のあとで「思っていたのと違う」となりやすくなります。相手は、まだ決めていないだけなのだろうと私は見ています。

返し方の例です。

「ありがとうございます。外さないように、使う場所だけ先に教えてください」

相手が決めていないことは、選択肢を2〜3個出して選んでもらいます。

「明るく柔らかい感じと、落ち着いてきりっとした感じなら、どちらが近いですか」

ゼロから考えてもらうより、選ぶほうが答えやすいものです。選んでもらえば、それが相手の言葉として残ります。

撮るものを決める「被写体・イメージ・NG」は、言葉より見本で合わせる

被写体と人数、当日その場にいる人を聞く

撮るのが人なのか、商品なのか、店や建物なのかで、準備が変わります。

  • 人の場合:「何人ですか。全員が当日そろいますか」
  • 商品の場合:「何点ありますか。1点につき、正面と寄りなど、何種類の撮り方が要りますか」
  • 店や建物の場合:「外観、内装、メニューのうち、どこまで撮りますか」

人数が多い撮影では、誰が欠席する可能性があるかも聞いておきます。当日に一人足りなくて、あとで合成したいと言われるのは避けたい展開です。

イメージは参考写真を2〜3枚もらって合わせる

「明るい感じで」「おしゃれに」は、人によって思い浮かべるものが違います。言葉だけで分かったつもりになると、ずれやすいと私は見ています。

手順は2つです。

  1. 似た雰囲気の写真を、ネットやほかの会社のサイトから送ってもらう
  2. どこがいいと思ったかを聞く(色か、構図か、表情か)

2つ目まで聞くと、同じ写真を見ていても、相手が見ているところが違うと分かります。色の明るさを気に入っている人もいれば、人物の距離感を気に入っている人もいます。

「この写真のどこが近いと感じましたか。色ですか、構図ですか、表情ですか」

写してはいけないものを先に聞く

当日の現場では、思わぬものが写り込みます。たとえば次のようなものです。

  • 机の上の書類
  • パソコンの画面
  • 他社のロゴ
  • 顔を出したくないスタッフ
  • 片付いていない場所

撮影が終わってから「ここは使えない」と気づくと、撮り直しか、修正の作業になります。時間も費用も、どちらかが持ち出すことになります。

「写してはいけないもの、写せない人、避けたい場所はありますか」

このひとことで防げます。当日にも「この棚はどけてから撮りますか」と、現場で確認する習慣があると安心です。

当日に慌てないための「日時・場所・時間の段取り」

場所は下見をするか、写真を送ってもらう

場所の条件は、撮れる写真を大きく左右します。下見に行けないときは、写真か動画を送ってもらいます。確認することは次のとおりです。

  • 窓の向きと、光の入り方
  • 部屋の広さと、天井の高さ
  • 電源の位置
  • 機材を置く場所
  • 駐車場があるか、搬入口がどこか
  • 撮影に使える時間帯(営業中か、休みの日か)

窓の向きは、時間帯で光が変わるので、何時ごろに撮るかとセットで聞きます。

雨の日と延期の決め方を先に決める

外での撮影があるなら、雨の場合を先に決めておきます。決めておくのは次の3つです。

  • 雨のとき、いつ、誰が中止を決めるか(前日の何時までか)
  • 延期した日の料金はどうなるか
  • 延期できる候補日はいつか

決めていないと、前の日にお互いが言い出しにくくなります。「やるかどうか、連絡を待っているうちに夜になった」という状態です。

「雨の場合は、前日の◯時までにどちらかから連絡して、延期にしましょう。延期の日程は、改めて決めて、料金はそのままでよいですか」

当日の流れと、立ち会う人を決めておく

当日の時間割を、簡単に決めておきます。

  • 到着・準備
  • 撮影
  • その場での確認
  • 片付け

それぞれにどのくらい時間を取るか、あらかじめ相手に伝えておくと、現場で急かされずに済みます。

もう一つ聞いておきたいのが、当日その場で「これでいいです」と言える人が誰か、ということです。立ち会った人と、あとで写真を見る人が違うと、納品のあとで「やっぱり違う」とひっくり返ることがあります。

「当日の撮影で、その場で確認していただける方はどなたですか。あとで写真を見る方は別にいらっしゃいますか」

納品の条件は「撮る枚数」ではなく「渡す枚数」で合わせる

枚数のずれが一番揉めやすい

撮った枚数から選んで渡す枚数へ絞られる流れ

カメラマンは「撮った中から選んだ◯枚を納品する」つもりでいても、相手は「撮った分を全部もらえる」と思っていることがあります。撮影の枚数と納品の枚数は別のものですが、言葉にしないと同じに聞こえます。

「お渡しするのは、こちらで選んだ◯枚という形でよろしいですか。撮った分すべてではなく、選んだ中から仕上げてお渡しします」

全部ほしいという相手には、その場合の条件(追加の費用など)を別に話します。

データの形式・サイズ・補正の範囲

形式と補正の範囲は、表にして伝えると、お互いに見落としません。

確認すること聞き方の例
データの形式「JPEGでよろしいですか。元のデータもほしい場合はお知らせください」
サイズ「ホームページ用と印刷用で、大きさを分けますか」
明るさ・色の調整「全体の明るさと色の調整までをこちらで行います」
肌・背景の修正「肌のなめらかな修正や、背景の物の消去は入りますか」

補正の範囲は、人によって思い浮かべる「きれいに直す」が違う部分です。ここで線を引いておかないと、納品のあとに修正の依頼が増えます。

納品日と、修正を受ける回数

「なるべく早く」のまま進めないことです。相手がその写真をいつまでに使うのかを聞いて、納品日を逆算します。

「この写真はいつまでに使う予定ですか。それに間に合うように、納品日を決めましょう」

修正の受付は何回までかも、あらかじめ決めておきます。

「納品のあとの修正は、◯回まで承ります。それ以上は別のご相談とさせてください」

回数を決めておけば、修正のやりとりが終わりのない往復になりません。

あとで揉めやすい「使える範囲」と「追加料金」は、最初に書面に残す

あとから「ほかにも使いたい」と言われたとき

使える範囲の内側と外側を示す同心円の図

よくある例です。ホームページ用に撮った写真を、あとで広告やチラシにも使いたいと言われる。

写真の権利は、一般に撮った人に残ると言われています。お金を払えば自動で相手に移る、とは限りません。ただし、個別の扱いは契約の中身で変わります。そのため、どこで、いつまで使ってよいかを、契約書か書面(メールでもかまいません)に残しておくと安心です。

「今回の写真は、ホームページと会社案内でお使いいただけます。それ以外の広告などに使う場合は、事前にお知らせください」

範囲の外で使いたいと言われたら、追加の条件として相談します。権利や契約の判断は、個別の事情で変わります。迷うときは専門家(弁護士など)に相談してください。

写っている人の了解は、写真の権利とは別に確かめる

スタッフやお客さんが写る撮影では、その人たちが写真に載ることを了解しているかを、相手に確認してもらいます。これは写真の権利とは別の話として扱います。

「写る方には、写真が載ることを事前にお伝えいただけますか。顔を出したくない方がいれば、教えてください」

法的な結論をこちらで出す必要はありません。「確認してもらう項目」として置いておけば十分です。個別の判断が必要なときは、専門家に相談してください。

追加料金がかかる条件を先に伝える

追加になる場合は、あとから言うと言い訳に聞こえます。先に言えば、条件として受け取ってもらえます。金額ではなく、どういうときに追加になるかを伝えます。

追加になる場合伝え方の目安
時間の延長「予定の時間を超える場合は、延長の費用がかかります」
撮るカットの追加「決めたカット以外を増やす場合は、別の費用になります」
補正の追加「決めた範囲以上の修正は、別の費用になります」
遠い場所への交通費「◯◯より遠い場合は、交通費を別にいただきます」
延期「前日以降の延期は、費用がかかる場合があります」

打ち合わせの終わりと、その日のうちに送る確認メール

最後に、聞いたことを読み上げて確かめる

打ち合わせの最後に、聞いたことを読み上げます。

「今日うかがったことを、確認させてください」

そう切り出して、9項目を順に読み上げます。目的は何で、どこに載せて、何を撮って、何は写さず、いつどこで、何枚をいつまでに、どこまで使えて、追加になるのはどんなときか。相手の思い違いは、ここで出てきます。「あ、それは違います」と言ってもらえれば、当日の前に直せます。

確認メールの例文(そのまま使える)

打ち合わせの日のうちに、次の形で送ります。書いたものを残す役目も果たします。

件名:撮影の確認事項(◯月◯日 打ち合わせ)

本文:

◯◯様

本日はお時間をいただき、ありがとうございました。 うかがった内容を、次のとおり整理しました。

  • 目的と使う場所:◯◯のため、ホームページに掲載
  • 撮影日時と場所:◯月◯日 ◯時〜、◯◯
  • 撮るもの:◯◯(人数・点数)
  • NG:◯◯は写さない
  • 納品:選んだ◯枚、JPEG、◯月◯日まで(修正は◯回まで)
  • 使える範囲:ホームページ。ほかの用途に使う場合は事前にご連絡ください
  • 追加の費用:時間の延長、カットの追加、補正の追加、遠方の交通費、延期の場合

違うところがあれば、お知らせください。 当日、よろしくお願いいたします。

「違うところがあれば、お知らせください」の一文は、相手に直してもらう余地を残す役目をします。返信が来なくても、送った内容が書面として残ります。

打ち合わせの中身を、次の依頼に持ち越す

9項目のメモは、毎回使える型として手元に残しておきます。次の案件で問い合わせが来たら、そのメモで順に聞いていけばいいだけです。毎回いちから考えなくて済みます。

撮影の打ち合わせは、仕事を取って、納めて、また頼まれるまでの流れの一部です。全体の流れは仕事の取り方の全体の流れにまとめています。打ち合わせでの聞き方が整うと、その前後も組み立てやすくなります。

よくある質問

撮影の打ち合わせはどのくらいの時間が必要ですか?

項目の数で決まります。9項目を順に聞けば、短くてもやることがはっきりします。時間の長さより、目的から聞く順番を守ることと、最後に読み上げて確かめることが大事です。

打ち合わせはオンラインでもいいですか?

目的・使い道・イメージ合わせは、オンラインでもできます。場所の光や広さは画面では分かりにくいので、写真か動画を送ってもらうか、下見の時間を別に取ります。

お客さんが「おまかせします」としか言わないときはどうすればいいですか?

そのまま受けないことです。使う場所だけは必ず聞き、決めていないことは選択肢を2〜3個出して選んでもらいます。参考写真を送ってもらうのも効きます。

撮った写真をお客さんが別の用途に使いたいと言ってきたら?

写真の権利は一般に撮った人に残ると言われますが、個別の扱いは契約の中身によります。最初の打ち合わせで使える範囲を書面(メールでもかまいません)に残しておき、範囲の外なら追加の条件として話します。個別の判断は専門家に相談してください。

打ち合わせで決めたことは、どうやって残せばいいですか?

その日のうちに確認メールを送ります。目的、日時と場所、撮るもの、NG、納品の条件、使える範囲、追加料金の条件を並べ、違いがあれば知らせてもらうよう一言添えます。

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