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このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか

打ち合わせの準備で先に決めるのは、話す中身ではなく「何を決めて帰るか」

先に答えを書きます。前の日までに、①今日のゴールの1行、②聞くこと3つ、③次の約束の候補日2つを決めてください。当日の朝は場所と名前を確かめ、始まる前の5分はゴールと聞くことだけを見返します。資料作りや話し方の練習は、その後で足ります。

打ち合わせの前の晩に、自己紹介と実績の話し方を頭の中でくり返す。次の日、その場では緊張して、思うようには話せない。帰り道に「準備しても同じだった」と思う。

そんな経験がある人は、手に職をもって独立した人の中にも、いるのではないかと思います。

準備しても当日うまく話せない気がするのはなぜか

「準備したって、結局はその場でうまく話せるかどうかで決まる。自分は口がうまくないから、準備しても限りがある」。こう感じている人が多いようです。これは私の見立てで、統計で確かめた話ではありません。

話す練習だけでは自信が下がる流れを示す因果図

そう感じるのは、準備が「話す練習」に寄っていて、「今日これが決まれば成功」というゴールを決めていないことが一因だと私は見ています。ゴールがないと、話がどこへ向かえばいいのか自分でも分からなくなります。振り返る基準が「うまく話せたかどうか」だけになり、口に自信がない人ほど、毎回自己評価が低くなりがちです。

準備が「自分の説明」の練習だけで終わってしまう

前の晩にやるのは、自分の説明の練習だけ。相手がどんな会社で、何に困っていそうかは調べない。その場の会話で乗り切ろうとする。この記事では、こうした状態を『下調べなし型』と呼びます。

腕とは関係がありません。仕事の取り方を習う機会がなかっただけで、順番を知れば変えられます。

この記事でお渡ししたい許可は一つです。話がうまい必要はありません。 何を決めて帰るかを前もって決めておけば、当日はそれを確かめていくだけで済みます。

この記事の準備は3つの時間に分ける(前の日まで・当日の朝・始まる前の5分)

準備を3つの時間に分けます。

準備を3つの時間に分けたタイムライン図

  • 前の日まで:ゴール・聞くこと・次の約束の候補を決める。相手のことを少し調べる。持ち物をそろえる
  • 当日の朝:場所、時刻、相手の名前の読み方を確かめる
  • 始まる前の5分:ゴールの1行と、聞くこと3つだけを見返す

手順は次の章から順に書きます。

前の日までに決めておく3つのこと

決めるのは3つです。資料作りより先に、この3つを紙1枚か、スマホのメモ1つにまとめてください。

前の日までに決める3つのことを並べた構造図

今日のゴールを1行で書く(確かめられる形で)

ゴールは、終わったあとに「できた/できなかった」で答えられる形で書きます。

  • 次に見積を出す日が決まる
  • 相手が困っていることを3つ聞ける
  • 現場を見せてもらう日が決まる

書いてはいけない例は、「いい感じで終わる」「気に入ってもらう」です。あとで決まったかどうかを確かめられません。迷ったときの判断基準は、帰り道に「達成した」と言い切れるかどうかです。

ゴールが1行あると、話が横にそれても戻る場所ができます。口がうまい人でも、ここは同じです。

聞くことは3つだけ書き出す(そのまま使える質問例)

聞くことは、次の3つから始めてください。

  1. 今いちばん困っていることは何ですか
  2. これまではどうされていましたか
  3. いつごろまでに形にしたいですか

10個用意すると、質問表を読み上げるだけになりがちです。相手の答えを聞いて、そこから次の質問が出てくる余白がなくなるからです。3つで止めてください。足りなければ、相手の答えの中から出てきます。

次の約束の候補日を2つ空けておく

打ち合わせの終わりに、次の約束を決めずに「またご連絡します」で別れると、そのまま連絡が途切れることがあります。そこで、候補を2つ用意しておきます。

来週の火曜か木曜に、たたき台をお持ちしてもいいですか。

このひと言を言うために、その2日は手帳で先に空けておきます。空いていない日を候補に出すと、その場で言いよどみます。

相手について調べるのは3か所で足りる

下調べに時間をかけすぎる必要はありません。時間は15〜20分くらいと置きます。これは私の目安で、根拠のある統計ではありません。調べきれなかったことは、質問メモに回せば足ります。

3か所を調べて最初のひと言に絞る流れ図

ホームページで見るのは3か所だけ

  • 何をしている会社・お店か
  • 最近のお知らせ
  • どんな人を募集しているか

全部を読み込まなくて構いません。募集の内容を見ると、相手がいま人手や仕事のどこに困っているかの手がかりが見つかることがあります。

紹介者がいるなら、前もって1本だけ連絡しておく

紹介でつながった場合は、紹介者に前もって聞いておくと、当日の会話が変わることがあります。

お世話になっております。◯日に◯◯さんとお会いします。どんな方か、教えていただけますか。何かお困りだとおっしゃっていたことがあれば、それも伺えると助かります。

聞くのは「どんな方ですか」と「何に困っているとおっしゃっていましたか」の2つで足ります。

調べたことは「最初のひと言」に1つだけ使う

調べたことは、1行のメモにして、最初のひと言に使います。

お知らせで、新しいお店を出されたのを拝見しました。

相手は「見てくれている」と感じやすく、自分から話し始めやすくなります。

避けたいのは、調べたことを全部話すことです。相手が話す時間を取ってしまいます。調べたことは、知っていると見せるためのものではなく、相手に話してもらうきっかけです。

当日持っていくものチェックリスト

必ず要るもの(チェックリスト表)

持ち物なぜ要るか忘れたときの代わり
名刺(多めに)同席者が増えても渡せる連絡先をメモに書いて渡し、あとでメールを送る
メモ帳と筆記具相手の言葉をその場で書き留めるスマホのメモ。使う前に「メモを取らせてください」と一言添える
前の日に書いた準備メモゴールと聞くことを見返す手帳の端やスマホに3行だけ書き写す
過去の仕事の例を1〜3件相手の困りごとに近い例を見せるスマホで見せられる画像。なければ「後日お送りします」と伝える
料金の目安が分かるもの聞かれたときに答えられる口頭で幅を伝え、「正式な金額は後日お出しします」と添える
スマホと充電器地図、連絡、日程の確認に使う相手の連絡先と住所を紙にも控えておく
相手の連絡先と住所の控え遅れそうなときや、迷ったときに使う前日のメールを検索できる状態にしておく

あると話が進むもの・持っていかなくていいもの

過去の仕事の例は、相手の困りごとに近いものを1〜3件だけに絞ります。これまでの実績を全部ファイルに入れて持っていくと、めくりながら説明が続きます。相手が自分を重ねる場面がなくなります。

持っていかなくていいものもあります。

  • 分厚い会社案内
  • その場で決めるつもりのない契約書

荷物が多いほど、自分の説明が長くなりがちです。迷ったら、置いていく側に倒してください。

オンラインの打ち合わせで置き換えるもの

  • 名刺の代わりに、自己紹介の一文と連絡先をすぐ送れるようにしておく
  • 画面に出す仕事例のファイルを、前もって開いておく
  • 接続は始まる10分前に確かめる

当日の朝と、始まる前の5分で確かめること

朝に確かめる4つ(場所・時刻・名前・表記)

  • 場所と行き方
  • 着く時刻(10分前に着くように逆算する)
  • 相手の名前と読み方
  • 会社名・お店の名前の正しい表記

名前の読み方や表記を間違えると、最初のひと言で気まずくなります。朝のうちに、もう一度見ておいてください。

始まる前の5分で見返すのは「ゴール」と「聞くこと」だけ

始まる前の5分に見返すのは、2つだけです。今日のゴールの1行と、聞くこと3つ。それ以外は見ません。

直前に資料を読み返すと、気持ちが話す側に寄りやすくなります。聞く側の頭で席につくのが目的です。

オンラインの場合は、次の4つも確かめます。

  • 通話のリンクが開けるか
  • カメラの写り
  • 後ろに見えるもの
  • 通知を切ってあるか

遅れそうなときにそのまま送れる連絡文

遅れると分かった時点で、すぐ送ります。迷っている時間のぶんだけ、連絡が遅くなります。

申し訳ありません。電車が遅れており、10分ほど遅れて着きます。先に始めていただいて大丈夫です。

準備したのに空回りする3つの落とし穴

自分の説明の準備はあるのに、聞く準備がない

最初の15分を自己紹介と実績の話に使い、相手の困りごとを聞く前に時間が終わる。準備した人ほど起きやすい形です。

直し方:最初の5分は相手の話を聞くと、前の日に決めておきます。

調べたことを全部話してしまう

調べたことは、相手に話してもらうきっかけです。知っていると見せるために使うと、相手の話す時間がなくなります。

直し方:調べたことは最初のひと言に1つだけ使い、残りは質問に回します。

終わったあとのメモがなく、次もいちから準備する

うまくいった打ち合わせがあっても、何がよかったかを残さないと、次もいちから組み立てることになります。

直し方:打ち合わせのあとに5分だけ、メモを書き足します。内容は次の章に載せています。

今日やれること:次の打ち合わせ用の準備メモを1枚作る

そのまま写せる準備メモの型

相手の名前(読み方):
今日のゴール(1行):
調べて分かったこと(1行):
聞くこと3つ:
 1.
 2.
 3.
次の約束の候補日2つ:
持ち物:

打ち合わせのあと5分で書き足すこと

  • 決まったこと
  • 相手が使った言葉
  • 次にやることと、その日付

相手が使った言葉は、次の打ち合わせでそのまま質問や提案に使えます。このメモが、次の準備の土台になります。

まず今日は「ゴールの1行」だけ書く

全部を作ろうとしなくて構いません。次に入っている打ち合わせについて、今日のゴールの1行だけ先に書いてください。それだけで、準備の向きが変わります。

打ち合わせの前後も含めた仕事の取り方の流れは、フリーランスの営業の仕方にまとめています。

よくある質問

打ち合わせの準備は何日前から始めればいいですか?

前の日までに「今日のゴール」「聞くこと3つ」「次の約束の候補日」を決めておけば足ります。相手について調べるのは15〜20分くらいが目安です(筆者の目安で、統計ではありません)。当日の朝は、場所・時刻・名前の確認だけにします。

初めての打ち合わせでは何を聞けばいいですか?

3つに絞ります。今いちばん困っていること、これまでどうしていたか、いつごろまでに形にしたいか。質問を増やしすぎると読み上げになるので、足りない分は相手の答えから出てくる質問で補います。

打ち合わせに資料は持っていくべきですか?

相手の困りごとに近い過去の仕事例を1〜3件と、料金の目安が分かるものがあれば十分です。全部の実績や分厚い会社案内は、説明が長くなるので持っていかなくていいです。

オンラインの打ち合わせの準備で気をつけることは?

始まる10分前にリンクと接続を確かめます。カメラの写りと後ろに映るものを見て、通知を切ります。名刺の代わりに、自己紹介の一文と連絡先をすぐ送れるようにしておきます。

相手のことを調べすぎると、かえって引かれませんか?

調べたことを全部話すと、相手が話す時間が減ってしまいます。最初のひと言に1つだけ使い(例:お知らせで〇〇を拝見しました)、残りは相手に話してもらうための質問に回します。

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