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このシリーズの全体像 営業メールの例文集|場面別に、そのまま使える文面
受注のお礼メールは「お礼+次の段取り」を一通で送る
仕事が決まった。ほっとして、お礼のメールを書き始める。ここで「次の段取りや日程まで書くのは、がっついているようで図々しいかもしれない」と考えて、丁寧なお礼だけ送って止めてしまう人もいます。決まったのだから、あとはいい仕事さえすれば、次の依頼も紹介も自然についてくるはず。そう思っているぶん、お礼メールに次の話を足す必要は感じにくくなります。
ただ、頼んだ側が決めた直後に知りたいのは、お礼の言葉より「このあと何が起きるのか」のほうだ、という場面が多いと私は見ています。この記事では、受注のお礼メールを、そのまま使える文面で作ります。
丁寧なお礼だけで止めると、相手は次の連絡を待つしかなくなる
頼んだ側は、決めた直後に少しだけ気にしていることがある、と私は見ています。本当にこの人でよかったか。次に自分は何を準備すればいいのか。社内や家族に、どう説明すればいいのか。
お礼だけのメールが届くと、相手の手元には「次の連絡を待つ」という選択肢しか残りません。待つ時間は、そのまま不安の時間になることがあります。
決めた直後の相手が知りたいのは「このあと何が起きるか」
お礼の言葉は、2行あれば伝わります。残りの行は、相手の「このあと」に使うほうが役に立つ、というのが私の考えです。
- いつ会うのか(または、いつ話すのか)
- 相手は何を用意するのか
- こちらはいつ、何をするのか
この3つが書いてあるメールは、頼んだ側から見ると「段取りのいい人に頼めた」と感じる材料になる、と私は仮説を持っています。
最小形は4つ:お礼・内容の確認・次の段取り・こちらの次の連絡日
受注のお礼メールは、次の4つがあれば成り立ちます。
- お礼(1〜2行)
- 決まった内容の確認(何を、いつまでに)
- 次の段取り(日程の候補、相手に用意してもらうもの)
- こちらから次に連絡する日
この記事で作るのは、仕事の終わりを告げる「締めの挨拶」ではありません。仕事の始まりを告げる「最初の連絡」です。営業メール全体の書き方は、営業メールの書き方と例文のまとめで整理しています。
そのまま使える受注お礼メールの例文(基本形)
件名は「お礼」だけにせず、次の段取りまで入れる
「ご依頼ありがとうございます」だけの件名だと、相手は開いてから「次の話はどこに書いてあるのか」と中身を探すことになります。件名の時点で、お礼と段取りの両方が分かる形にしておくと、あとから見返すときも探しやすくなります。
件名の例を3つ挙げます。
- ご依頼ありがとうございます(○○の件・今後の進め方)
- ○○制作の件 ご依頼のお礼と次の打ち合わせ候補日
- 【○○様】ご契約のお礼と、今後の流れのご案内
件名に案件名を入れておくと、相手が同じ時期に複数の仕事をやりとりしていても、このメールだけを見つけられます。
本文の全文例(コピーして使える形)
件名:ご依頼ありがとうございます(○○の件・今後の進め方)
○○株式会社
△△様
お世話になっております。□□です。
本日は、ご依頼を決めていただき、ありがとうございました。
お任せいただいた分、しっかり形にします。
本日決まった内容を、念のため確認させてください。
・内容:○○の制作
・納期:○月○日(○)まで
・金額:○○円(税別)
このあとの進め方です。
1. 打ち合わせ(オンライン30分)
候補は次の3つです。
①○月○日(○)10時 ②○月○日(○)15時 ③○月○日(○)11時
2. ご用意いただきたいもの
・○○のデータ
・参考にしたいもの(URLなど)
・載せたい内容の元データがあれば、その資料
3. こちらの動き
○月○日までに、進め方の案をお送りします。
○月○日(○)に、あらためてご連絡します。
それより前でも、ご不明な点があればこのメールへの返信でお知らせください。
引き続き、よろしくお願いいたします。
□□(氏名)
(屋号・電話番号・メールアドレス)
決まった内容(作業内容・納期・金額)は、口頭で話したときと同じ言い方で書きます。言い換えると、相手には「話が少し変わった」と読めてしまうことがあるためです。
書き換えるのは3か所だけ
全文例のうち、案件ごとに変えるのは次の3か所です。
- 相手の名前と案件名
- 打ち合わせの候補日
- こちらの次の連絡日
「用意いただきたいもの」の中身は仕事によって変わりますが、型は同じです。迷ったら、この3か所だけ先に埋めて、残りは数分で整えます。
NG例:次に何をするかが一行もない文面
お世話になっております。□□です。
このたびはご依頼をいただき、誠にありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。
失礼な文面ではありません。ただ、相手がこのメールを読んでわかるのは「お礼を言われた」ことだけです。いつ会うのか、何を用意するのか、いつ連絡が来るのか。どれも書かれていないので、相手は待つしかなくなります。
相手別の例文:初めての相手・紹介で決まった相手・2回目以降の相手
基本形をそのまま使ってもいい場面は多いです。ただ、相手との関係によって、足すものと省いていいものが変わります。
初めての相手には「連絡の取り方」を一行足す
初めて仕事をする相手は、まだ「この人にどう連絡すればいいか」を知りません。連絡手段、連絡のつく時間帯、返事の目安を一行で渡しておくと、相手は迷わずに連絡できます。
ご連絡は、このメールへの返信か、お電話(○○-○○○○-○○○○)でお受けします。
平日10時〜18時に確認しており、お急ぎでなければ翌営業日中にお返事します。
この二行を、基本形の「ご不明な点があれば〜」の部分と差し替えます。
紹介で決まったら、紹介してくれた人にも一報を入れる
紹介で決まった場合、お礼メールは2通になります。決まった本人への1通と、紹介してくれた人への1通です。
紹介してくれた人は、紹介したあとの結果を知らないままになりがちです。「どうなったのかな」と思ったまま時間がたつと、次に誰かを紹介するときのためらいにつながる、という人が多いと私は見ています。報告は短くて構いません。
件名:ご紹介ありがとうございました(△△様よりご依頼をいただきました)
○○さん
お世話になっております。□□です。
おかげさまで、ご紹介いただいた△△様から、ご依頼をいただきました。
まずはお礼をお伝えしたく、ご連絡しました。
進み具合は、区切りのよいところでまたお知らせします。
依頼の中身や金額は書きません。相手(△△様)が紹介者に話してよいと言っていない内容まで伝えると、あとで困るためです。
2回目以降は、前回と違うところだけ書く
前に仕事をした相手には、前回の内容に一言だけ触れて、段取りは「前回との違い」だけ書きます。
先日の○○に続き、今回もご依頼いただき、ありがとうございます。
進め方は前回と同じです。違うのは次の2点です。
①納期が○月○日であること
②今回は○○もお願いしたいこと
それ以外は前回のとおりで進めます。
毎回同じ定型文を送ると、相手を覚えていないように読まれる、と私は考えています。前回のことに一言触れるだけで、「覚えている」ことが伝わります。
3つの違いを表にまとめる
| 相手 | 足すもの | 省いていいもの |
|---|---|---|
| 初めての相手 | 連絡の取り方(手段・時間帯・返事の目安) | なし(基本形をそのまま) |
| 紹介で決まった相手 | 紹介者への別メールを送る(本人あてには「ご紹介の件」に触れる一言) | 紹介者に依頼内容や金額を書くこと |
| 2回目以降の相手 | 前回に触れる一言と、前回との違い | 進め方の全体説明、連絡の取り方の説明 |
「次の段取り」に書くこと:日程・用意してほしいもの・こちらの次の一手
基本形の中でいちばん差がつくのが、この3つです。
日程は「ご都合を教えてください」ではなく候補を出す
「ご都合のよい日を教えてください」と書くと、相手は自分の予定を確認して、候補を考えて、返信することになります。こちらが候補を2〜3つ出しておけば、相手は「この中ならこれ」と選ぶだけで済みます。やりとりの往復が1回減ります。
候補は次の3つです。ほかの日がよければお知らせください。
①○月○日(○)10時 ②○月○日(○)15時 ③○月○日(○)11時
「ほかの日がよければ」の一言を添えておくと、押しつけにはなりません。
相手に用意してもらうものは箇条書きにする
相手は、決まったあとに「何を出せばいいのか」が分からないまま日が過ぎることがあります。用意してほしいものは、文章にせず箇条書きにします。職種ごとの例です。
- デザイナー:ロゴのデータ、参考にしたいサイトや資料、載せたい文章
- カメラマン:撮影場所、撮影する人数、当日の進行が分かる資料
- 士業:必要書類の一覧、手元にある資料、確認したい項目
- 施術・講師などの個人向けの仕事:希望の日時、ご要望のメモ、事前に伝えておきたいこと
全部が揃っていなくても構いません。「ない場合はお知らせください。こちらで代わりの方法を考えます」と添えておけば、相手は準備のために止まらずに済みます。
こちらが次に何をするかを、日付で書く
いちばん大事なのは、こちらの動きを日付で書くことです。
- 弱い例:「詳細は追ってご連絡いたします」
- 強い例:「○月○日までに、進め方の案をお送りします」
日付のない「追って」は、相手から見ると「いつ来るのか分からない連絡」です。日付を書くと、その日までは相手が待っていていいことが分かります。こちらも、書いた以上は動く約束になるので、自分の段取りも整います。
段取りが書いてあるメールは、相手がそのまま周りの人に転送して「こう進みます」と説明できる形になる、という効用もあると私は考えています。これは仮説で、相手の立場によって変わります。
送るタイミングと、やってしまいがちなNG
決まった当日に送る。電話で決まった日もメールは送る
送る日は、決まった当日のうちを勧めます。決めた側の不安がいちばん大きいのは直後だと、私は考えているからです。翌日、翌々日と空くと、その間に相手は「どうなったのかな」と思うかもしれません。
電話や対面で決まったときも、メールは送ります。お礼を重ねるためではなく、決まった内容と次の段取りを文字で残すためです。口頭だけだと、日付や条件の聞き違いが、あとから出ることがあります。
当日中に内容を整理しきれないときは、短く一通だけ先に送ります。
本日はありがとうございました。内容を整理して、明日の午前中に改めてお送りします。
お礼を重ねすぎて段取りが埋もれる
お礼を3行、4行と丁寧に重ねるうちに、段取りが文面の下のほうに沈むことがあります。
数あるなかから私どもにご依頼いただき、誠にありがとうございます。
貴重なお時間とご信頼をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。
今回のご縁を大切に、全力で取り組んでまいります。
(ここから下に段取りがある)
気持ちがこもっているのは分かります。ただ、相手がいちばん知りたいことは下にあります。お礼は2行までと決めておくと、迷いません。残りの気持ちは、仕事の中で見せるほうが伝わります。
条件の書き足し・後出しはしない。書類の扱いは確認する形で書く
次のような書き方は避けます。
- 口頭で決めた金額や条件と、違う書き方をする
- 聞いていない条件を、メールで初めて書き足す(たとえば、修正は2回まで、先に着手金をお願いします、など)
相手から見ると「聞いていない」ことになり、決まった直後に信頼を落としてしまいます。決まった内容は、口頭と同じ言い方で確認するだけにします。決め忘れた条件があるなら、お礼メールに混ぜず、「確認させてください」と別の連絡として聞きます。
契約書・請求書・発注書の扱いは、相手の会社の決まりや取引の中身によって変わります。お礼メールでは断定せず、次のように確認する形に留めます。
契約書や請求書など、どの書類をいつやりとりするか、確認させてください。
書類の中身や法的・税務上の判断が絡むときは、個別の判断を専門家に相談してください。
受注のお礼メールが、納品のあとの次の仕事につながる理由
いい仕事をして納めても、声がかからなくなることがある
いい仕事をして納めた。相手にも喜ばれた。それなのに、その後は声がかからない。ほかの依頼も入らない。
こういうとき「自分の腕が足りなかったのか」と考える人がいます。ただ、仕事が減った理由は、腕が落ちたことより、思い出してもらう機会がなくなったことにある人が多い、と私は見ています。
納めたあとは、相手から連絡が来るのを待つ。いい仕事をすれば、次や紹介は自然に来ると思っている。この記事では、これを「紹介待ち型」と呼びます。思い出してもらうための働きかけを、していない状態のことです。
この状態は、腕だけの問題ではない場合が多いと私は見ています。思い出してもらうやり方を、まだ身につけていないだけ、ということもあります。
「納品のあとに一度ご連絡します」を最初の一通に入れておく
抜け出すための最小の行動は、1つだけです。受注のお礼メールに、次の一行を入れておきます。
納品のあと、一度使い心地を伺うご連絡をします。
納品後にいきなり連絡すると、相手は「何の用だろう」と思うことがあります。最初の一通で先に伝えておけば、その連絡は「約束していたこと」になります。次の連絡の口実を、決まった最初の一通で先に作っておく、ということです。
基本形の「こちらの動き」の最後に、この一行を足すだけで構いません。
納品後に送る、振り返りの連絡の例文
件名:○○の使い心地はいかがですか(納品後のご連絡)
△△様
お世話になっております。□□です。
先日お納めした○○について、使ってみていかがでしたでしょうか。
直したいところや、使いにくいところがあれば、一言いただければ確認します。
特にお困りでなければ、このメールへのお返事は不要です。
引き続き、よろしくお願いいたします。
売り込みの言葉は入れません。「次のご依頼があれば」とも書きません。相手の様子を伺う連絡として届けるだけで、あとは相手が思い出したときに声をかけやすくなります。
送る前のチェックリスト(受注お礼メール用)
中身のチェック5項目
- お礼は2行以内か
- 決まった内容(何を・いつまでに・いくら)が、口頭と同じ言い方で書いてあるか
- 打ち合わせの候補日が2〜3つあるか
- 相手に用意してもらうものが、箇条書きになっているか
- こちらの次の連絡日が、日付で書いてあるか
言い方のチェック3項目
- 件名を見ただけで、次の段取りが入っていると分かるか
- 「追ってご連絡します」だけで終わっていないか
- 紹介で決まった場合、紹介してくれた人への一報を送ったか
今日やること:直近のお礼メールを1通見直す
いま進んでいる案件の、最後に送ったお礼メールを1通開いてください。上の項目を見て、足りないものを1つだけ選びます。選んだ1つを、次に相手へ送る連絡に入れます。全部を直そうとしなくて構いません。次の連絡に1つ足すだけで、メールは「締めの挨拶」から「仕事の最初の連絡」に変わります。
よくある質問
受注のお礼メールはいつ送ればいいですか?
決まった当日のうちに送るのを勧めます。頼んだ側は、決めた直後に「この人でよかったか」と気にしているかもしれない、と私は見ているためです。当日中に整理しきれない場合は、「明日の午前中に内容をお送りします」と一通だけ先に送っておく方法もあります。
電話や対面でお礼を言ったあとも、メールは必要ですか?
送るのを勧めます。お礼を重ねるためではなく、決まった内容と次の段取りを文字で残すために送ります。口頭で決めたことは、口頭と同じ言い方で確認します。
受注のお礼メールの件名はどう書けばいいですか?
「ご依頼ありがとうございます(○○の件・今後の進め方)」のように、お礼と次の段取りの両方が分かる件名にします。お礼だけの件名だと、相手は開いてから中身を探すことになります。案件名を入れておくと、あとから見返すときも探しやすくなります。
お礼メールに契約書や請求書の話を書いてもいいですか?
書類の扱いは、相手の会社の決まりや取引の中身で変わるので、断定せずに「どの書類をいつやりとりするか確認させてください」と確認の形で書きます。個別の判断が必要な場合は、専門家に相談してください。
受注のお礼メールに返信が来ないときはどうすればいいですか?
メールに書いておいた「こちらの次の連絡日」に、予定どおり連絡を入れます。返事を催促する連絡ではなく、書いた段取りを進める連絡として送ります。たとえば「予定どおり、進め方の案をお送りします」と、次の段取りの中身を添えます。
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