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このシリーズの全体像 営業メールの例文集|場面別に、そのまま使える文面
見積の辞退は「早く・短く・次の一言」で関係は切れない
合わない依頼が来た。断る文面を考えているうちに、数日たってしまう。返事がないので、相手から「その後いかがでしょうか」と催促が届く。見積の辞退でつらいのは、断ること自体より、この「迷って遅れる」流れだと私は見ています。
背景にあるのは、「一回でも断ったら、もう二度と声はかからない」という思い込みではないでしょうか。だから断れずに抱えるか、返事を遅らせてしまう。
発注する側から見るとどうでしょうか。私は、困るのは断られることより、返事を待たされて次の手を打てないことだと見ています。早く断ってくれる人は、また頼みやすい人として残ります。これは公式の根拠があるわけではなく、私の見解です。
合わない仕事でも、断ったら次が来ない気がして受け続ける。そのせいで、いい話が来たときに手が空いていない。ここから抜ける最初の一歩は、次の4つを入れて、今日中に返すことです。
- 声をかけてもらったお礼
- 辞退することをはっきり書く
- 理由はひと言
- 次につなぐ一言
最短の例文はこれです。件名から署名の手前まで、そのまま使えます。
件名:お見積りご依頼の件(辞退のご連絡)
【会社名】
【相手のお名前】様
お世話になっております。【自分の名前】です。
このたびはお見積りのご依頼をいただき、ありがとうございました。
検討いたしましたが、今回は辞退させていただきます。
理由は、【◯月◯日の納期では、いまの体制で品質を守れないため】です。
【次につなぐ一言】
お声がけいただいたことに、あらためて感謝申し上げます。
【 】の中だけ自分の状況に直せば送れます。「次につなぐ一言」の選び方は、3つ目の章で書きます。
営業メール全体の例文は、営業メール全体の例文はこちらにまとめています。
そのまま使える見積辞退メール例文【理由別3パターン】
理由は、自分の価値の話ではなく、仕事の条件の話として書きます。「できない」ではなく「この条件では、期待に応える形で届けられない」という言い方にします。
手が回らない(納期が合わない)
件名:お見積りご依頼の件(辞退のご連絡)
【会社名】
【相手のお名前】様
お世話になっております。【自分の名前】です。
このたびはお見積りのご依頼をいただき、ありがとうございました。
検討いたしましたが、今回は辞退させていただきます。
【◯月◯日】の納期では、いまの体制で品質を守れないためです。
【次につなぐ一言】
ご期待に添えず申し訳ございません。
お声がけいただいたことに、感謝申し上げます。
差し替える場所:【会社名】【相手のお名前】【自分の名前】【◯月◯日】【次につなぐ一言】
得意な分野と違う
件名:お見積りご依頼の件(辞退のご連絡)
【会社名】
【相手のお名前】様
お世話になっております。【自分の名前】です。
このたびはお見積りのご依頼をいただき、ありがとうございました。
検討しましたが、今回は辞退させていただきます。
【依頼の分野】は、私より得意な方がいらっしゃるため、
そちらにお願いするほうが、よい結果になると考えました。
【次につなぐ一言】
お声がけいただいたことに、感謝申し上げます。
差し替える場所:【会社名】【相手のお名前】【自分の名前】【依頼の分野】【次につなぐ一言】
相手のためを理由にした言い方です。ただし、本当にそう考えているときだけ使ってください。
予算が合わない
件名:お見積りご依頼の件(辞退のご連絡)
【会社名】
【相手のお名前】様
お世話になっております。【自分の名前】です。
このたびはお見積りのご依頼をいただき、ありがとうございました。
検討しましたが、今回は辞退させていただきます。
ご予算の範囲では、ご期待の内容をお届けすることが難しいためです。
【次につなぐ一言】
お声がけいただいたことに、感謝申し上げます。
差し替える場所:【会社名】【相手のお名前】【自分の名前】【次につなぐ一言】
金額が高い・安いという書き方はしません。「この中身は、この条件では届けられない」という書き方にします。
3本とも、【次につなぐ一言】の場所は空けてあります。何を入れるかは次の章で選びます。
次につながる「代わりの一言」は3つから選ぶ
辞退だけで終わらせると、相手には「この人には頼めない」という印象だけが残りがちです。代わりの一言は、「頼めない」を「この条件なら頼める」に変えます。
時期をずらす
【◯月】以降でしたらお受けできます。
具体的な月を書きます。「落ち着いたら」「また余裕ができたら」はぼやけるので使いません。相手がいつ声をかければいいか分からず、声をかけにくくなります。
範囲を絞る
全体は難しいのですが、【デザインのみ/撮影のみ】でしたらお受けできます。
全部は無理でも、一部なら受けられるときの言い方です。予算が合わないときにも使えます。
別の人を紹介する
この分野でしたら、【◯◯さん】が適任だと思います。よろしければご紹介します。
信頼できる人が本当にいて、その人の了解も取れるときだけ使います。名前を出す前に、その人へ一報を入れておきます。これを飛ばすと、紹介された側にも迷惑がかかります。
NG例
- できない約束をする(「次はお受けします」と言い切る)
- 受ける気のない時期を書く
次に声をかけられたときに困るのは自分です。書いた一文は、相手の頭の中に残ります。
3つとも合わないとき
また別の機会がございましたら、ぜひお声がけください。
この一文で十分です。無理に代わりの案を作らなくて構いません。
理由はどこまで書くか:書きすぎるほど言い訳に読まれる
書かなくていいこと
- 他の取引先の名前
- 社内の事情
- 体調などの細かい事情
- 長い謝罪
相手が知りたいのは「受けるのか、受けないのか」と「次にどうすればいいか」です。事情を細かく書くほど、相手の読む量が増えて、言い訳に見えやすくなります。
NG例とOK例の比較
| NG | OK |
|---|---|
| 大変申し訳ございません、実は今月は別件が重なっておりまして… | 納期までに品質を保てる体制が取れないため |
| 他社様のご案件との兼ね合いで、どうしても時間が取れず… | 【◯月】以降でしたらお受けできます |
| 私の力不足で、ご期待に添えず心苦しいのですが… | この分野は、私より得意な方がいらっしゃるため |
| 少し体調を崩しておりまして、お詫び申し上げます | 今回は辞退させていただきます |
左は、読む側に「それは自分に関係あるのか」と思わせる書き方です。右は、仕事の条件として短く言い切っています。
予算が合わないときに言わないこと
「この金額なら受けます」と、自分から値下げを出さないでください。辞退のつもりで送ったメールが、「では、その金額でお願いします」という返事を呼ぶことがあります。結局、受けたくなかった安い金額で受けることになります。
下げられる範囲を先に決めていないなら、値下げではなく、範囲を絞る提案(一部だけなら受ける)を使います。
理由を書かずに断る形もある
私は、理由を書かずに短く断るのも失礼ではないと見ています。「諸般の事情により」は硬すぎるので、「今回は辞退させていただきます」の一文に、お礼を添えるだけで足ります。
見積を出したあとで辞退・取り下げるとき(間違えた・受けられなくなった)
先に電話か、メールだけか
見積を出す前の辞退なら、メールだけで足りることが多いです。見積を出したあとは、相手の動きを見て選びます。判断の目安は2つです。
- 提出から日がたっている
- 相手が「上の人に見せる」と言っていた
どちらかに当てはまるなら、相手がすでに社内で見積を回していそうです。先に電話で一報を入れて、そのあとにメールで残します。
金額を間違えたとき:訂正か、取り下げか
桁の打ち間違いや項目の漏れなら、訂正版を出し直します。受けられる条件が崩れたなら、取り下げます。
訂正版を出し直すとき:
件名:お見積り金額の訂正のご連絡
【相手のお名前】様
お世話になっております。【自分の名前】です。
先日お送りしたお見積りに、誤りがございました。申し訳ございません。
誤:【◯◯円】
正:【◯◯円】
訂正後のお見積書を添付いたします。
お手数ですが、先にお送りしたものは破棄していただけますでしょうか。
条件が崩れて取り下げるとき:
件名:お見積りの取り下げのご連絡
【相手のお名前】様
お世話になっております。【自分の名前】です。
先日お送りしたお見積りについて、【◯◯の事情で、記載の条件でお受けすることが難しくなりました】。
申し訳ございませんが、取り下げさせていただきます。
【次につなぐ一言】
謝るのは一回でいい
NG例:
大変申し訳ございません。お詫びして訂正いたします。重ねてお詫び申し上げます。ご迷惑をおかけしたことを深くお詫びいたします。
「お詫び」が何度も出ています。謝罪は冒頭の一文にまとめて、残りは次にどうするかを書きます。相手が知りたいのは、いまの見積が有効かどうかと、次に何をすればいいかです。
発注書や契約書をすでに交わしている場合
ここまでの話は、見積を出した段階が前提です。発注書や契約書をすでに交わしている場合は、扱いが変わります。一般的な考え方に留めますが、個別の判断は専門家に相談してください。
送る前の確認リスト:辞退メールの7項目
いつ送るか
迷い始めたら、まず次の一通を先に返します。
お見積りの件、お受けできるか確認しております。【◯日】までにお返事いたします。
断る文面に迷って日が空くのがいちばん関係を悪くする、というのが私の見方です。期限つきの一通があるだけで、相手は待てます。
件名で用件が分かるか
件名に「辞退のご連絡」と入れます。本文を開かないと断りだと分からない件名は避けます。相手が先に用件を知っていれば、読み方も落ち着きます。
7項目チェック表
| 確認 | 項目 |
|---|---|
| □ | ①相手の返事の期限より前に送る |
| □ | ②件名に「辞退」と入っている |
| □ | ③最初の3行にお礼と辞退がある |
| □ | ④理由はひと言にしている |
| □ | ⑤代わりの一言がある(または無理に作っていない) |
| □ | ⑥できない約束をしていない |
| □ | ⑦相手の名前・会社名・依頼の件名が正しい |
今日やること:断る基準を先に一行で決めておく
基準がないから、毎回断れずに迷う
断るかどうかをその場で考えると、「断ったら次がないかも」という不安が勝ちやすくなります。先に基準を決めておけば、断るのは自分の価値の話ではなく、仕事の条件の話になります。
受ける・断るの基準3つ
次の表に、自分の数字を1行ずつ書き込んでください。
| 基準 | 見るところ | 自分の数字(1行で) |
|---|---|---|
| ①納期 | いまの仕事量で守れるか | 【 】 |
| ②得意な分野か | 得意な分野と、そうでない分野 | 【 】 |
| ③金額の下限 | これを下回ったら受けない額 | 【 】 |
迷ったときの返事の下書きを1本保存する
この記事の例文を1本、メールの下書きに今日入れておきます。次に合わない依頼が来たとき、その日のうちに返せます。文面を考える時間が、遅れの原因になりやすいからです。
最初の一歩
次の依頼1件で、基準に照らして当日中に返事する。ここから始めるのがよいと私は考えています。断った経験が積み重なると、「断っても関係は続く」という実感が持てるようになる、というのが私の見方です。
見積の辞退は、次に頼まれる人として残るための仕事です。個別の契約や法的な扱いが絡む場合は、専門家に相談してください。
よくある質問
見積を辞退するのは失礼ですか?
失礼かどうかは、断ることより返事の早さと書き方で決まると筆者は見ています。お礼・辞退・理由ひと言・次につなぐ一言を入れて早めに返せば、また声をかけやすい人として残ります。
見積辞退の理由は書くべきですか?
ひと言で十分です。納期・分野・予算など仕事の条件として書き、社内事情や他の取引先の話、長い謝罪は書きません。理由を書かずに短く断る形もあります。
見積の辞退はメールと電話のどちらがいいですか?
見積を出す前ならメールで足りる場合が多いです。すでに見積を出して、相手が社内で回していそうなら、先に電話で一報してからメールで残します。
一度出した見積を取り下げることはできますか?
金額の打ち間違いなら訂正版を出し直し、受けられる条件が崩れたなら取り下げの連絡をします。発注書や契約書をすでに交わしている場合は扱いが変わるため、個別の判断は専門家に相談してください。
予算が合わないとき、値下げを提案してから断るべきですか?
自分から値下げを出すと、辞退のつもりが安い金額で受ける流れになることがあります。下げられる範囲を先に決めていないなら、範囲を絞る提案(一部だけなら受ける)を使います。
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