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このシリーズの全体像 営業メールの例文集|場面別に、そのまま使える文面
見積の金額を間違えたとき、最初にやるのは謝る文章ではなく正しい数字の確認
結論から言うと、順番はこうです。まず「どこが・いくら違ったか」を1行で確定させる。次に、気づいた日のうちに、正しい金額を本文に書いたお詫びメールと訂正版の見積書を送る。この記事では、その例文と手順を、場面別に書きます。
見積を送って半日たった夕方。控えを見返したら、工数の掛け算が1桁ずれていた。相手からの返信はまだ来ていない。手が止まって、頭の中は「どう謝るか」でいっぱいになる。
この場面で、「金額を間違えた時点で、もう信用はない。せめて安いほうの金額で飲むしかない」と自分に言い渡してしまう人がいます。独立している人にとって、見積は「この人に頼んで大丈夫か」を見られる最初の書類です。そこで数字を外すと、取り返しがつかない気がしてきます。
ただ、受け手の側から見て困るのは、間違いがあったこと自体より、どちらの数字が正しいのか分からないまま放っておかれることだと、私は見ています。間違いは直せます。分からない状態が続くと、相手は社内で説明するための材料を持てません。
先に謝罪文から書くと、たいていこうなります。
金額に誤りがありました。申し訳ありません。確認してあらためてご連絡します。
これを送ると、相手の手元には「どこが、いくら違うのか」が何も残りません。確認が不十分なまま送るので、正しいと思って出し直した金額がまたずれて、2回目の訂正になることもあります。私は、信用に響くのは1回目の間違いより2回目の訂正のほうだと思っています。
やることは1つです。謝る前に、「どこが・いくら違ったか」を1行で書き出す。
作業費 正しい日額×5日のところ、日額を誤って低く計算して記載(合計 誤った額 → 正しい額)
この1行が書ければ、お詫びメールの中身は8割できています。書けないなら、まだ送る段階ではありません。元の見積と計算の元データを並べて、先にここを埋めます。
お詫びメールの例文|安く出していた・高く出していた・内訳の計算違いの3つ
間違い方は大きく3つに分かれます。どれも骨組みは同じで、次の5つで組み立てます。
- お詫び(1文)
- 誤りの箇所
- 正しい金額(本文に書く)
- 訂正版を添付したこと
- 不明点は電話で説明できること
例文A:安く出していた(正しい金額のほうが高い)
件名:【訂正】お見積金額の誤りについて(山田様)
山田様
お世話になっております。○○です。 先日お送りしたお見積に金額の誤りがありました。申し訳ありません。
【誤りの箇所】作業費 誤)○○円 × 5日 = ○○円 正)○○円 × 5日 = ○○円
このため、合計は ○○円(税別)ではなく、○○円(税別)となります。 訂正版のお見積書(見積番号 ○○-2)を添付します。お手数ですが、先日の見積書は破棄をお願いします。
ご不明な点は、お電話で説明します。 ○○(電話番号)
金額が上がる連絡は、書いていて一番つらいところです。だからこそ、言い訳を挟まずに数字だけを並べたほうが、読む側は迷いません。
例文B:高く出していた(正しい金額のほうが安い)
件名:【訂正】お見積金額の誤りについて(山田様)
山田様
お世話になっております。○○です。 先日のお見積に金額の誤りがありました。失礼しました。
【誤りの箇所】作業費 誤)○○円 × 5日 = ○○円 正)○○円 × 5日 = ○○円
合計は ○○円(税別)ではなく、○○円(税別)です。 訂正版のお見積書(見積番号 ○○-2)を添付します。先日の見積書は破棄をお願いします。
ご不明な点は、お電話で説明します。 ○○(電話番号)
お詫びは短くします。「安くなるのでご安心ください」「結果的によかったです」のような書き方はしません。訂正の事実と正しい金額だけを書きます。
例文C:総額は合っていて、内訳だけ違う
件名:【訂正】お見積の内訳の誤りについて(山田様)
山田様
お世話になっております。○○です。 先日のお見積で、内訳の記載に誤りがありました。申し訳ありません。合計金額(○○円・税別)に変更はありません。
項目 訂正前 訂正後 作業費 ○○円 ○○円 諸経費 ○○円 ○○円 合計(税別) ○○円 訂正前と同じ金額 訂正版のお見積書(見積番号 ○○-2)を添付します。先日の見積書は破棄をお願いします。
ご不明な点は、お電話で説明します。 ○○(電話番号)
総額が同じでも、内訳が違えば、相手が社内で説明するときの数字が変わります。放っておかずに、どの行がどう変わるかを表で見せます。
3つに共通するNG例
- 言い訳から書き出す。「バタバタしておりまして」から始めると、読む側が知りたい「で、いくらなのか」が後ろに回ります。
- 謝罪を3回くり返す。「申し訳ありません」が何度も出ると、肝心の数字が埋もれます。お詫びは冒頭の1文で足ります。
- **正しい金額を本文に書かず、添付ファイルにしか載せない。**添付を開かない人は、本文だけ読んで終わります。正しい金額は必ず本文にも書きます。
ほかの場面のメール例文は、営業メールの例文をまとめたページにも置いています。
気づいてから出し直すまでの順番
文面が書けても、順番を間違えると相手の混乱が増えます。気づいてからの流れを5つに分けます。
手順1:違いを1行で書き出す。 元の見積の控えと、計算の元データを並べます。冒頭で書いた「どこが・いくら違ったか」の1行です。ここが確定するまで連絡しません。
手順2:訂正版の見積を作る。 見積番号と日付の付け方は2通りあります。
- 元の番号に「-2」を付ける(例:○○-1 → ○○-2)
- 新しい番号にして、「○月○日付見積の訂正版」と書き添える
どちらでも構いません。相手が見て「これは前のものの置き換えだ」と分かることが大事です。日付は、訂正版を作った日にします。
手順3:気づいた日のうちに連絡する。 これは統計に基づく話ではなく、実務上の理由からそう考えています。「返事が来てから言おう」と先延ばしにすると、相手がその見積をもう誰かに見せたあとになりやすくなります。見せたあとだと、直すのは相手の側の手間にもなります。
手順4:メールか電話かを決める。
| 状況 | 連絡の仕方 |
|---|---|
| 金額が上がる | 電話を先にしてから、メールで訂正版を送る |
| 相手がもう動いている(社内に回した、返事をもらっている等) | 電話を先にしてから、メールで訂正版を送る |
| 金額が下がる | メールだけでよい |
| 相手がまだ見ていない可能性が高い | メールだけでよい |
表の条件が重なって迷うとき(金額は下がるが、相手がもう動いている等)は、電話を先にするほうが安全だと私は考えています。
電話をするときの切り出しは、こう言えば足ります。
「先日お送りした見積に金額の誤りがありました。正しい金額をお伝えしてから、訂正版をメールで送ります。いまお時間よろしいですか」
電話のあとは、話した内容をそのままメールにして残します。
手順5:元の見積は破棄してほしいと一言添える。 相手の手元に2つの数字が残ると、あとで「どっちの話でしたっけ」になります。「先日の見積書は破棄をお願いします」の一言で済みます。
安く出していたとき、差額を自分でかぶるかどうかの判断基準
正しい金額のほうが高いとき、「いまさら言い直したら、ごまかそうとしたと思われる」と考えてしまい、差額を黙ってかぶりたくなる人がいます。
差額を言い出せず、間違えた金額のまま受ける。原価を割っていても、「自分のミスだから」と飲み込む。そのあとで、仕事を進めながら、ずっと気持ちが重いまま過ごす。こういう動きになる人はいます。金額を口に出すことが、自分の値打ちを口に出すことのように感じられて、言えなくなっている状態です。
この場面で言えば、つらいのは金額を間違えたことそのものではなく、正しい金額をもう一度口にすることのほうだと思います。
そこで1つ、見方を渡します。値段は自分の値打ちの点数ではなく、仕事の条件です。 正しい条件を伝え直すことは、ごまかしではありません。ごまかしになるのは、間違いに気づいたのに黙っていて、あとから請求で変えるときです。
状況別の判断表
| 状況 | 訂正するか | 伝え方 |
|---|---|---|
| 相手がまだ返事をしていない | 正しい金額で訂正する | 上の例文Aを送る。差額をどうするかは書かない |
| 返事が来ているが、作業前 | 訂正する。受けるかどうかは相手に選んでもらう | 「正しい金額は○○円です。この金額で進めてよいか、ご判断をお願いします」 |
| 作業がもう始まっている | 3案を出して、相手と決める | ①差額を全額かぶる ②差額を半分ずつ持つ ③範囲を減らして、元の金額に合わせる |
3案を出すときのメール文は、たとえばこうです。
作業が始まっているため、次の3案をご用意しました。 案1:元のお見積の金額(○○円・税別)のまま、こちらで差額を負担して進める 案2:差額(○○円)を半分ずつ負担し、○○円(税別)で進める 案3:作業の範囲を減らして、元の金額に収まる内容で進める
ご都合のよいものをお知らせください。
3案を出すのは、全部を相手に押しつけるためではありません。自分が持てる範囲を自分で決めたうえで、相手にも選ぶ余地を残すためです。
差額をかぶると決めた場合の注意点
差額をかぶること自体は、1つの判断です。ただし、メールに「今回に限り、差額はこちらで負担します」と書いて残しておいてください。残さないと、次の見積のときに、相手の中でその金額が基準になってしまうおそれがあります。
相手がもう発注していた・作業が始まっていたとき
見積書にどこまでの拘束力があるのか、金額の誤りが契約の効力にどう影響するのか。こうした扱いは状況によって変わるため、この記事では書きません。金額が大きいときや、相手ともめそうなときは、弁護士などの専門家に相談してください。
ここで書けるのは、実務の動き方です。順番は3つです。
- 事実を伝える。 何が間違っていて、正しい金額はいくらかを、先に言う。
- 相手の手元の状況を聞く。 社内で回したか、上の人に話したか、すでに他の手配を動かしたか。相手が何を動かしたかで、選べる案が変わります。
- 選べる案を出す。 前の章の3案のように、いくつかを並べて、一緒に決める。
NG例:何も言わずに進めて、請求書で正しい金額にする
作業を進めながら、請求書を出すときに正しい金額で請求する。これは避けてください。相手から見ると、あとから金額が変わったことになります。間違いがあったこと自体より、黙っていたことのほうが、関係を傷つけると私は見ています。
相手が決めにくそうなときは、期限を区切る
相手が迷っているようなら、期限を添えます。
「どちらにされるか、○日までにお返事いただけると助かります。作業を止めずに進めたいので、その日を目安にさせてください」
急かすためではなく、作業を止めない段取りとして伝えます。期限の理由を一言そえると、受け取る側も圧を感じにくくなります。
次に間違えないための、送る前5分の見直しチェックリスト
見積の間違いは、内訳を分けずに総額だけ書いていると見つけにくくなります。単価×数量の行に分けておけば、桁のずれに自分で気づけます。
送る前の5項目
- ①単価×数量を電卓で計算し直した
- ②税込か税別かが、件名・本文・見積書でそろっている
- ③値引きの行を2回引いていない
- ④前の案件の見積を流用したときは、宛名と日付を変えた
- ⑤添付ファイルが最新版かを、ファイル名で確かめた
5つとも、送る直前に見れば防げるところです。とくに④と⑤は、数字は合っていても、渡す相手や版を間違えるミスです。
「寝かせてから送る」は、逆効果になりやすい
間違えるのが怖くて、一晩寝かせてから送る人がいます。気持ちは分かります。ただ、日が空くほど、相手の熱は冷めます。寝かせるのではなく、送る直前に5分の見直しを、決まった手順でする。そのほうが、間違いも減り、出すのも遅れません。
計算の元にした数字は、見積と一緒に保存する
見直し用に、計算の元にした数字のメモを、見積と同じフォルダに残しておきます。訂正が必要になったとき、冒頭で書いた「どこが・いくら違ったか」の1行が、すぐに書き出せます。
まとめ
見積の金額を間違えたとき、順番は次のとおりです。
- 謝る前に、「どこが・いくら違ったか」を1行で書き出す
- 訂正版を作る(番号に「-2」、または訂正版と書き添える)
- 気づいた日のうちに連絡する(金額が上がるときは電話が先)
- 元の見積は破棄してほしいと、一言添える
- 作業が始まっているときは、3案を出して相手と決める
間違いそのものより、そのあとの動き方のほうが、相手の記憶に残ります。法的な扱いが気になるときは、専門家に相談してください。
よくある質問
見積の金額を間違えたら、メールと電話のどちらで連絡すべきですか?
金額が上がるときや、相手がもう動いているときは、電話を先にしてからメールで訂正版を送ります。金額が下がるときや、相手がまだ見ていない可能性が高いときは、メールだけでかまいません。条件が重なって迷うときは、電話を先にするほうが安全だと考えています。
見積の金額を安く出してしまいました。その金額で受けないといけませんか?
法的な扱いは状況によって変わるので、この記事では断定しません。気になる場合は専門家に相談してください。実務では、相手がまだ返事をしていなければ正しい金額で訂正し、作業が始まっていれば、全額かぶる・半分ずつ持つ・範囲を減らす、の3案を出して相手と決めます。
訂正した見積書の番号や日付はどうすればいいですか?
元の番号に「-2」を付けるか、新しい番号にして「○月○日付見積の訂正版」と書き添えます。日付は訂正版を作った日にします。元の見積は破棄してほしいと一言添え、相手の手元に2つの数字が残らないようにします。
お詫びメールの件名は何と書けばいいですか?
「【訂正】お見積金額の誤りについて(相手の名前)」のように、訂正であることと内容が件名で分かるようにします。本文には正しい金額を必ず書き、添付ファイルにしか載っていない状態にはしません。
見積の金額ミスを防ぐにはどうすればいいですか?
総額だけでなく、単価×数量の内訳を行ごとに分けて書きます。送る前の5分で、計算し直し・税込か税別か・値引きの二重計上・流用元の宛名と日付・添付の版、の5点を確かめます。
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