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このシリーズの全体像 対面営業の作法・人脈術 完全ガイド
打ち合わせの服装は「相手の普段より少しだけきちんと」で決める
打ち合わせの前の晩、クローゼットの前に立って、スーツにするか普段着にするかが決められない。気づいたらスマホで「打ち合わせ 服装」と検索している。初めて会う相手の前では、そういう夜を過ごした経験のある人もいると思います。
頭の中にあるのは、「ちゃんとした格好で行かないと、フリーランスは軽く見られる」という考えかもしれません。会社に守られていない分、見た目で判断されたくない。その気持ちは自然です。
服で迷うのは、服の知識が足りないからではなく、会社の看板がない分、服を自分の値打ちの証明にしないといけない気がしているからだ、という人が多いと見ています。ただ、初対面の相手が服から読み取るのは「この人は自分の場を見てくれるか」であって、腕の点数ではない、と私は見ています。
迷いが止まらないのは、相手の会社がふだんどんな服装で働いているかを知らないまま、正解を一つに決めようとしているからだとも、私は見ています。相手がTシャツで働く会社なのか、全員がスーツの事務所なのかで、正解は変わります。先にそこを知れば、服はほとんど自動的に決まります。
なお、打ち合わせの服装について、公的な基準や業界団体の定義は私は確認していません。この記事に書くのはすべて「目安」と「私の見方」です。決まりではないので、自分の場面に当てはめて使ってください。
基準は一つ「相手のふだん+一段」
基準は一つだけです。相手のふだんの服装より、一段だけきちんとさせる。
- 相手がTシャツとデニムの会社なら、襟付きのシャツ1枚
- 相手がシャツの会社なら、そこにジャケットを足す
- 相手がスーツの会社なら、スーツか、それに近いジャケットの組み合わせ
一段上、というのがポイントです。同じ高さに合わせると、初対面では「ふだん着で来た人」に見えることがあります。二段も三段も上げると、今度は相手が気を使います。
初回で相手のふだんが分からないときは、きちんとした側に寄せます。理由は単純で、ジャケットは脱げば崩せますが、持っていないものは足せないからです。
男性・女性の目安をひと言で
詳しくは後の節に書きます。先にひと言だけ答えます。
- 男性:ジャケット、襟付きのシャツ、濃い色のパンツ、手入れした靴
- 女性:ジャケットかきれいめのカーディガン、無地のトップス、ひざ丈のスカートか折り目のあるパンツ、歩きやすい低めの靴
どちらも、派手さより清潔感が先です。新しい服を買う必要はありません。手持ちの服を、アイロンと靴みがきで整えるところから始めれば足ります。
スーツが要るかは、業種より「相手が当日スーツか」
スーツがいるかどうかは、業種で決めると外れやすくなります。同じIT系でも、スーツで来る会社もあれば、短パンで来る会社もあると私は見ています。私は、相手が当日スーツを着ているかどうかで決めるほうが外れないと見ています。
では、相手が当日スーツかどうかをどうやって知るのか。それを次の節で渡します。
相手のふだんの服装は、会う前の5分で調べられる
会う前に相手のことを調べず、当日の朝、その場の勘で服を決める。うまくいった日もあれば、着いてから「しまった」と思う日もある。

このメディアでは、これを「下調べなし型」と呼びます。会う前に調べる時間を取らず、その場の会話で乗り切ろうとしている状態です。
抜け出す最小の行動はひとつです。**服を決める前に、相手のふだんを5分だけ見る。**これだけで、前の晩の迷いはかなり減ります。
見る場所は3つ
- 相手のサイトのスタッフ紹介・採用ページの写真 社員が写っている写真があれば、その人たちが着ている服がそのまま目安になります。
- 代表者や担当者のSNSの投稿写真 イベントや打ち合わせの様子が載っていることがあります。仕事の場の服装が分かる写真を探します。
- お店や事務所ならGoogleマップの写真 店内や外観、スタッフが写った写真が載っていることがあります。
見るのは、襟があるか、ジャケットを着ているか、色は暗めか明るめか、くらいで十分です。細かい分析は要りません。写真の中の人が着ている服が、その会社の「ふだん」です。
紹介でつながった相手なら、紹介者にひと言聞く
知り合いの紹介でつながった相手なら、紹介者に聞くのが早道になることが多いです。
先方はふだんどんな雰囲気ですか。服装を合わせたくて。
服の話から入ると、たとえば「ラフな人が多いですよ」「社長だけスーツです」のように、相手の会社の様子まで一緒に教えてもらえることがあります。服装の質問は、紹介者への気軽な相談としても出しやすい話題です。
調べても分からないときの初期値
サイトにも写真がなく、SNSも動いていない。そういう相手には、次の形を初期値にします。
- 襟付きのシャツとジャケットを着ていく
- 相手がくだけた服装なら、着いてすぐジャケットを脱ぐ
逆のパターンは取り返しにくいものです。ラフな服で行って、相手が全員スーツだった場合、その場で服を足すことはできないからです。初回は、崩せる側から入るのが安全です。
相手と場所で見る、打ち合わせの服装の早見表
次の表は、私の目安です。決まりではありません。数字や割合の裏づけがあるものでもなく、実務の感覚をまとめたものです。

| 相手 | きちんと寄せる度合い | 目安の服装 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 士業の事務所 | 高い | スーツか、ジャケット+襟付きシャツ+スラックス | 初回は暗めの色に寄せる。柄は避ける |
| 金融・不動産 | 高い | スーツか、それに近い組み合わせ | 靴の手入れ。時計や小物は控えめに |
| 工場・建設などの現場の会社 | 中(動きやすさ優先) | ジャケット+襟付き。現場を見るなら動ける服 | 現場に入るなら革靴・ヒールは避ける |
| 施主・お客さんの家や店を訪ねるとき | 中 | ジャケット+襟付き。靴は脱ぎ履きしやすいもの | 玄関で靴を脱ぐ場面があるので、靴下と足元を整える |
| IT・制作会社 | 低〜中 | ジャケット+きれいめの無地トップス | かしこまり過ぎると話しづらくなることがある |
| 飲食・美容などのお店 | 低〜中 | きれいめの服。清潔感を優先 | 営業中は相手が忙しい。目立つ服や強いにおいは避ける |
| 個人事業主 | 相手による | 相手のSNSや写真を見て決める | 初回で分からなければ、襟付きにジャケット |
相手の業種で変わるところ
お金や契約を扱う相手(士業・金融・不動産)は、初回はスーツかそれに近い服を目安にします。見積や契約の話に入る相手は、見た目に「信用できるか」を重ねて見ることが多いと、私は見ています。
IT・制作会社やお店の相手は、スーツで行くと逆に距離ができることがあります。ジャケットにきれいめの服くらいの、かしこまり過ぎない形のほうが話しやすい場合があります。
場所で変わるところ
- 相手の事務所:その会社に合わせます。上の表と、事前に調べた写真が基準です。
- カフェ:周りの客から浮かない服にします。ジャケットは着ていてもいいですが、スーツ姿で一人だけ目立つ必要はありません。
- 工場や建設の現場を見せてもらうとき:汚れてもいい靴と動ける服にします。革靴やヒールは避けます。足元を気にしながら見学すると、話が頭に入りません。
オンラインの打ち合わせ
画面に映る胸から上だけでも、襟付きのものを1枚着ます。下は何でも構いませんが、立ち上がる場面があるなら下もきれいめにしておくと慌てません。
服と同じくらい、背景と明るさも目に入ります。背景に洗濯物や積んだ段ボールが映っていたら、それだけで印象が決まることがあります。窓や照明の位置を変えて顔を明るくし、後ろは白い壁か片付けた棚にしておきます。
男性の打ち合わせ服装:外さない組み合わせとNG例
基本の組み合わせ
- 紺かグレーのジャケット
- 白か薄い水色の襟付きシャツ
- 濃い色のチノパンかスラックス
- 手入れした革靴、または汚れのない落ち着いた色のスニーカー
柄は無地か、細いストライプまでにします。大きな柄や派手な色は、話の中身より先に目に入ってしまいます。
NG例
- シワの残ったシャツ
- かかとのすり減った靴
- 大きなロゴのTシャツ
- 短パン、サンダル
- 汗じみ
- 強い整髪料や香水のにおい
並べると分かるように、NGの多くは「服そのもの」より「手入れできていないこと」です。高い服を着ていなくても、シワがなく、靴がきれいで、においが強くなければ、「ちゃんとしている人」に見えやすくなります。私は、見られているのは服の値段ではなく、手入れの行き届き方だと見ています。
スーツを着たほうがいい場面
次のような場面は、スーツに寄せます。
- 相手が士業や金融の初回
- 相手の会社の社長や役員が同席する
- 見積や契約の話をする回
ネクタイは、相手がしているかどうかで決めます。事前に分からなければ、鞄に入れておきます。着いてから相手を見て、していなければ出さない、している場合だけ締める、で足ります。
夏の暑い日の扱い
ジャケットは手に持って行き、席に着く前に相手を見て、着るかどうか決めます。相手がシャツ1枚なら、着なくて構いません。汗じみが心配な日は、着替え用のシャツかハンカチを鞄に入れておくと、安心して話に集中できます。
女性の打ち合わせ服装:外さない組み合わせとNG例
基本の組み合わせ
- ジャケットか、きれいめのカーディガン
- 無地のブラウスかカットソー
- ひざ丈のスカートか、折り目のあるパンツ
- 歩きやすい低めのヒールか、フラットシューズ
色は紺・グレー・ベージュ・白を中心にします。1色だけ差し色を入れる程度なら、場が明るくなります。
NG例
- 胸元や肩が大きく開いた服
- 短すぎるスカート
- 強い香水
- 動くたびに音が鳴るアクセサリー
- 歩くと音が響く靴
- 駅から遠い現場なのに、歩きにくい靴
ここでも見られているのは、服の格より「場に合っているか」だと私は見ています。音が鳴るもの、においが強いものは、話している間ずっと相手の注意を持っていってしまいます。
移動が多い日、現場を見る日
パンツと平らな靴にして、ジャケットはシワになりにくい素材のものを選びます。打ち合わせの会場は冷房が強いことがあるので、羽織りを1枚鞄に入れておくと、寒さで集中が切れません。
男性の節と同じで、見られているのは服の高さより、手入れと場への合わせ方だと私は見ています。
デザイナーや職人は「自分らしさ」をどこまで持ち込むか
作る仕事の人は、きちんとした服を着ると落ち着かないことがあります。会社員のふりをしているようで嫌だ、自分じゃない気がする、という感覚は自然だと思います。

その気持ちはそのままでいいです。性格や好みを変える必要はありません。変えるのは、初回の1回分だけです。
自分らしさが活きるとき/活きないとき
- 活きるとき:相手が作品やSNSを見て声をかけてきた場合。ふだんの雰囲気がそのまま期待されていることがあります。
- 活きにくいとき:知り合いの紹介で、相手がこちらをまだ知らない場合。初回は相手に寄せたほうが、話に入りやすいと見ています。
一点だけ残す
全身を変える必要はありません。眼鏡、時計、色、靴など、1か所だけ自分のものを残します。たとえばカメラマンなら、ジャケットの下だけは、ふだんの黒いシャツ。それだけで「自分の格好で来た」という感覚が残ります。
2回目以降に崩していく順番
初回で相手のふだんが分かったら、2回目からは、それに合わせて少しずつ崩していきます。ジャケットを脱ぐ、色を明るくする、靴を変える、という順で十分です。初回のきちんとした服は、相手の場を知るための1回分と考えて構いません。
服を相手に合わせるのは、媚びることではないと私は考えています。「相手の場を大事にしています」と伝える方法のひとつです。初回だけ相手の場に寄せれば、そのあとは自分の格好で会える、と見ています。
前日と当日の朝に見るチェックリスト
持ち帰って使えるように、まとめます。

前日
- 相手のサイト・SNS・写真で、ふだんの服装を見た
- 紹介者に雰囲気を聞いた
- シャツのシワを取った
- 靴の汚れとかかとを見た
- 雨の日の替えの靴と傘を用意した
当日の朝
- ジャケットを1枚持った
- においのきつい整髪料や香水を控えた
- 名刺と筆記具が鞄にある
前日にやること
最初の「相手のふだんを見る」が決まれば、あとは手入れの作業です。シャツはアイロンかスチームで、靴は汚れを拭いてかかとを確認する。これで準備は整います。
当日の朝にやること
出る前に、鏡の前で30秒だけ立ちます。見るのは、シャツのシワ、襟の汚れ、髪、靴、においの5つだけです。服そのものを変える時間ではなく、確認だけの時間です。
着いてから「服を外した」と気づいたとき
- 相手よりかしこまり過ぎていた:ジャケットを脱ぎます。それだけで場が合います。
- くだけ過ぎていた:言い訳をせず、話の準備で取り返します。
避けたいのは、「すみません、こんな格好で」と何度も謝ることです。服の話で謝り続けるほうが、服そのものより印象に残ると私は見ています。一言も触れず、いつも通り話を始めたほうが、相手の頭に残るのは話の中身になりやすいです。
服以外の初対面の作法(あいさつ・名刺・席に着く順など)は、対面営業の作法の全体像にまとめています。服が決まったら、そちらも合わせて見ておくと安心です。
今日やれる形で
今日やるのは、次の打ち合わせの相手のサイトを開いて、写真の人の服装を見るところまでです。服を決めるのは、そのあとで構いません。
服は腕の証明ではなく、相手の場に敬意を払う手段です。軽く見られないために着るのではなく、相手が話しやすくなるように着る、と考えて大丈夫です。
よくある質問
フリーランスの打ち合わせはスーツでないとだめですか?
業種よりも、相手が当日スーツかどうかで決めるのが目安です。士業や金融の初回、役員が同席する回はスーツに寄せ、IT・制作会社やお店の相手ならジャケット+きれいめの服で足りる場合が多いと見ています。迷ったらジャケットを着て行き、相手を見て脱ぎます。
打ち合わせにジーンズで行ってもいいですか?
相手のふだんがジーンズなら、色の濃い傷のないものにジャケットを合わせれば、浮きにくいと見ています。相手のことが分からない初回は、チノパンかスラックスにしておくほうが外しません。
オンラインの打ち合わせの服装はどうすればいいですか?
画面に映る胸から上だけでも、襟付きのシャツやブラウスを1枚着ます。服と同じくらい、背景の散らかりや顔の明るさが目に入るので、あわせて整えます。
夏の打ち合わせはジャケットなしでもいいですか?
手に持って行き、相手を見てから着るかどうか決めるのが外さないやり方です。相手がシャツ1枚なら着なくて構いません。汗じみと着替え用のハンカチのほうに気を配ります。
相手から「私服で来てください」と言われたら?
部屋着ではなく、相手のふだんに合わせたきれいめの服という意味で受け取るのが目安です。襟付きのシャツか無地のトップスに、手入れした靴を合わせれば十分です。
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